2024年3月21日
農業未経験者にもやさしい「アグリビジネス」セミナー
2月17日(土)に熊取町立総合体育館 ひまわりドームにて、「ふわっと就農体験」を開催。農業初心者から経験者まで、14人の参加者が約2時間のメニューを体験しました。
講師を務める「くまとりこもれび菜園」岩﨑則重さんは、八百屋勤務を経て、現在新規就農11年目。「農と暮らしをつなぐ」をコンセプトに、大阪唯一の自然薯栽培専門農家として活動しながら、YouTubeチャンネル「くまとりこもれび菜園」(登録者数2.6万人)にて農業に関する情報発信を行い、半農半Xを実践しています。また、月に1度開催する農業セミナー、くまとり新規就農塾、大阪公立大学農業サークル、大阪観光大学インターンシップなどの学生交流を行うなど、人材育成にも尽力しています。
参加者の受付が終わると、まずはひまわりドームにて小規模農業に関する1時間のセミナーを実施。仕事や趣味などのやりたいことと農業を両立させるライフスタイル「半農半X」について、わかりやすく紹介していきます。
人口・働き手減少の影響もあり、新規就農者の減少が問題となっている昨今。新規就農者を受け入れることが大切になっています。
そこで、大阪府で農業をはじめたい人に岩﨑さんが提案するのは、「半農半X」というライフスタイルです。1人で何役も担うマルチタスクの時代。八百屋×農業、サラリーマン×農業、主婦×農業…などやりたいことと農業を両立させるメリットについて、育てやすい作物や圃場管理、販売方法など実例を交えながら紹介。「毎日4時間くらいの作業で、夏と冬に数種類ずつ野菜を作ることができたら、年間100万円弱は稼ぐことができます」といった具体的な数字も。
「小規模農業を副業にしたい人や、週末農業をしたい人は多いはず。今までと違うニーズを引き出さないと大阪の農業は維持できません」と岩﨑さんは語ります。
後半には参加者からの質問コーナーも。女性でも使える耕運機や農薬についての考え方のほか、「農業をする中で、一番しんどい作業は?」というリアルな質問も。「たくさん収穫できたときはうれしいけど、販売価格が上がらないのでメンタルがやられることもあります(笑)」と明かす岩﨑さん。小規模農業について、興味深い話をたっぷりと聞くことができました。
続いては、ひまわりドームから岩﨑さんの畑まで約15分の距離を歩いて大移動。雲一つない清々しい青空の下、参加者同士の交流もあり、終始なごやかな雰囲気でした。
いよいよ岩﨑さんの畑に到着。40種類以上の栽培を目標にしている畑の広さは、合計で1500平米。里芋、水ナス、セロリ、パセリなど最近育てた作物についての解説もあり、参加者は興味津々。「まだ2月なのに、暖冬の影響で草刈りをしないといけないんです…」など、さまざまな苦労も語られました。
この日は、レタスの苗の植え付けを体験。栽培の安定性が高い「スターレイ」という品種のレタスで、5月以降に収穫することができます。ビニールハウスで育てた小さな苗を畝に約25cm(手の平を広げた幅くらい)の間隔をあけて植えていきます。
岩﨑さんは、いつも使っているというハンドプランター「なかよしくん」の使い方をレクチャー。プランターの上部に苗をひとつ入れて、土に刺すとほどよい深さの穴が開き、立ったまま上手に苗を植えることができる仕組みです。「いつもは妻とふたりで作業するときに使っています」という岩﨑さん。「なかよしくん」という名の通り、2人の息を合わせて作業することで夫婦仲も深まるかも!?
ハンドプランターをはじめて使用した参加者からは、「腰をかがめなくていいから楽に作業ができて便利!」「力の入れ方が意外と難しい」「ひとりで作業するときは、使わない方が早いかも(笑)」などさまざまな感想が飛び出しました。
セミナー当日は、ひまわりドーム1Fで岩﨑さんが丹精込めて作った野菜や地場野菜を販売する、1日限定のマルシェも開催。熊取産の菊菜やわさび菜、ちぢみほうれん草、泉州産のキャベツやブロッコリーなど葉物を中心とした新鮮野菜がズラリと並びました。
中には、熊取産のターサイが200円で詰め放題となるコーナーも。「暖冬の影響で花が咲きそうなので大放出します!」と岩﨑さん。中国野菜であるターサイは、花芽がつく(とう立ち)すると出荷することができません。白菜やチンゲン菜と同じように炒めたり、小松菜のように炊いたりしても美味しいそうです。
約20分の農作業を終えてひまわりドームへ戻った後は、マルシェで販売する地元野菜250円分をプレゼント。参加者は思い思いに好きな野菜を選び、追加で詰め放題のターサイなどを購入する人も。セミナーや農作業、マルシェを通して、農業の楽しさや将来性について理解を深めることができました。