2024年3月21日

自分で育てた野菜を動物たちに食べてもらおう

大阪市・天王寺区の天王寺動物園で行われた、野菜の栽培と動物への給餌体験ができるイベント「てんのうじZOOガーデン」。小学生以下の子どもと保護者を対象に、初回の2023年10月14日(土)から月に一度、全4回の日程で開催されました。

“自分で育てた野菜を動物に食べてもらう”という貴重な体験ができるこのイベント。作物の栽培は、園内で発生する動物の糞や飼料の残りカスでつくったたい肥を使用し、資源循環にも配慮していて、環境問題や食品ロスについて考える機会にもなりました。

初回の10月14日(土)は、園内の農場で種まき体験を行いました。大阪府羽曳野市でいちじくやそら豆を栽培する農園「七彩ファーム」の指導の下、育苗用のポットに土を入れてチンゲンサイやコマツナの種をまきます。種まきが初体験の子どもたちは、種の小ささにビックリ。「早く芽がでますように」と願いを込めて、種の上に優しく土をかけていました。

天王寺動物園の中原さんからは、動物のごはんに関するお話も。子どもたちは、実際に動物が食べているエサを見ながら、しっかりとお勉強。種まきをした「どうぶつのごはん」の成長が楽しみです。

種まきから3日後にはチンゲンサイ、コマツナが、ほどなくして牧草の一種、イタリアンライグラスも芽を出しました。植物の生育スピードの速さには驚くばかり。その後、チンゲンサイ、コマツナは少し虫食い被害もありましたが、すくすくと成長しました。

2回目の11月11日(土)は、前回種まきをした苗の植え付け作業です。第1回で持ち帰った苗も持ち寄りました。元気に育った苗を見た子どもたちは思わず笑顔に。うまく芽が出なかったものもあり、作物を育てるむずかしさを実感する子も。準備ができたら動物園内の小さな農場にみんなで協力して植え付けます。

植え付けが終わると、天王寺動物園の飼育員さんによるバックヤードツアーや、農場に使用しているたい肥に関する解説も。子どもたちは、普段は見ることができない動物園の裏側に興味津々。大変貴重な体験となりました。

みんなで一生懸命農場に植え付けをしたチンゲンサイ、コマツナ、イタリアンライグラスは、一カ月でみるみる成長!

植え付けをした野菜の成長に合わせて、3回目は12月16日(土)に開催。この日は、農場で育った野菜の間引きを行いました。間引きとは、野菜を健康的に育てるために生育の悪い株を抜き取ること。間引きをして野菜同士の間隔を十分とることで、収穫まで健康に育てることができるのです。

抜き取るときは、他の根を傷めないように根から優しく引き抜きます。間引き野菜は葉が柔らかくて食べやすく、栄養満点。丁寧に間引いた野菜は、動物を間近で観察できる天王寺動物園の施設、「ふれんどしっぷガーデン」で暮らすテンジクネズミに食べてもらうことに。思わぬごちそうに大喜びして、野菜を勢いよくほおばるテンジクネズミの姿は、とても愛くるしく、いつまでも見ていられそうでした。

最終回となった1月11日(土)、10月の種まきから心をこめて育ててきた野菜をいよいよ収穫。収穫した野菜は、園内のキリンやシマウマ、カバたちに食べてもらい、動物たちが美味しそうに野菜を食べている姿を間近で見ることができました。

子どもたちは、「こんなに近くでキリンを見たのははじめて!」「キリンの舌がザラザラしてる!」と大興奮。参加者は、「学校では学べない貴重な経験ができて良かった」「いつもは見るばかりの動物園ですが、体験を通じて動物はもちろん、エサとなる植物をより身近に感じることができました」と満足できた様子。全4回の活動を通じて、生物の多様性や農業について、親子で楽しく学べるいい機会となりました。